2026年6月13日開催予定の「縮充に挑む実践者の集い2026」。当日は5つの取り組みを発表していただきます。
5つの取り組みは、課題先進地である村上地域で実践しているだけに、「課題解決先進事例」でもあります。どこが注目のポイントなのか?取り組みの背景・概略も含めてご紹介します。
新潟県村上市坂町にある「ふくちゃcafe」。単なる飲食店ではありません。子どもから高齢者まで、地域のさまざまな人が安心して過ごせる「第3の居場所」として機能しているコミュニティカフェです。管理栄養士の冨田さんと保健師・公認心理師の柏櫓さんという、小学校時代からの友人同士が、それぞれの専門性を生かしながら運営しています。
ふくちゃcafeは2020年にオープンしました。その背景には、「地域の中に、誰もが気軽に立ち寄れ、安心して過ごせる場所をつくりたい」という二人の強い想いがありました。家庭でも学校でも職場でもない、“第3の居場所”を地域につくること。それが、ふくちゃcafeの出発点でした。
(一般社団法人ふくちゃHP)
現代の地域社会では、人とのつながりが薄れ、孤立感を抱える人が少なくありません。特に子どもたちは、学校や家庭で悩みを抱えていても、それを安心して話せる場所が限られています。
ふくちゃcafeでは、そうした子どもたちが気軽に立ち寄れるよう、学習スペースを設けたり、軽食支援の取り組みを行ったりしています。特徴的なのが「ごちピン」という仕組みです。来店客が150円を上乗せして支援すると、その分が“ピン”として掲示され、必要としている子どもが軽食と交換できます。
この取り組みには、「支援する側・される側を分けすぎない」という考え方があります。困っている子どもが特別視されることなく、自然な形で地域全体が支え合える仕組みとなっているのです。
また、ふくちゃcafeでは「相談してください」と構えるのではなく、「ちょっとお茶を飲みに来る」「誰かと話しに来る」といった日常の延長線上の関わりを大切にしています。そのため、学校に行きづらさを感じている子どもや、子育てに不安を抱える保護者、孤独感を抱える高齢者なども、気負わず足を運ぶことができます。
(新潟ローカルなウェブマガジン「Things」/2020.9.12)
子どもも大人も“第3の居場所”に。「ふくちゃカフェ」に込めた思い
ふくちゃcafeの存在意義があらためて注目されたのが、2022年8月の村上市豪雨災害でした。店舗は床上浸水の被害を受け、約3か月間の休業を余儀なくされました。しかし、そのような厳しい状況の中でも、ふくちゃcafeは地域のために動き続けました。
豪雨災害の際には、被災した家庭の保護者が片付けや各種手続きに追われ、子どもの居場所や見守りが大きな課題となりました。そうした中、ふくちゃcafeは「つどい場・あら、ほ」を活用し、託児支援を実施しました。被災した保護者が安心して復旧作業に向き合えるよう、子どもたちが安全に過ごせる場を地域の中につくったのです。
災害時に必要なのは、物資や制度だけではありません。不安を共有できる相手や、安心して頼れる場所、孤立しないためのつながりも欠かせません。ふくちゃcafeは、平時から地域との信頼関係を築いていたからこそ、非常時にも自然に支え合いの拠点となることができました。
また、被災後には多くの支援や応援の声も寄せられました。クラウドファンディングには、「この場所をなくしてはいけない」という地域内外の想いが集まり、ふくちゃcafeが地域にとって必要不可欠な存在であることがあらためて示されました。
災害時に本当に機能するのは、日頃から顔の見える関係が築かれている場所です。「困ったら、あそこへ行けば誰かがいる」と思える場所の存在は、地域の安心感そのものだと言えます。ふくちゃcafeは、日常の交流を積み重ねながら、地域の“支え合いの基盤”を育てているのです。
(CAMPFIREでのクラウドファンディング/2023.1)
【新潟県村上市】夏の豪雨災害から5ヶ月。地域の居場所となるカフェのリスタート!
こうした民間の居場所づくりは、地域の中のさまざまな人や団体とのつながりによって支えられています。NPO法人都岐沙羅パートナーズセンターでも、平成26年から令和5年まで、モデルハウス「木くばりの家」を活用した民営のコミュニティスペースづくりに取り組んできた経緯があります。行政施設とは異なる、「誰でも気軽に立ち寄れる場所」の必要性は、以前から地域の中で模索され続けてきました。
また、豪雨災害時には、都岐沙羅パートナーズセンターもふくちゃcafeへの支援に関わっています。平時から地域内でつながりを築いていた団体同士だからこそ、災害時にも柔軟な連携や支え合いが可能となりました。
ふくちゃcafeの取り組みは、「ここにいていい」と思える場所を地域の中につくる実践です。そして、その居場所は、一人の力だけで成り立つものではありません。人と人とのゆるやかなつながりや、地域内の支え合いによって支えられています。
制度だけでは埋めきれない孤独や不安に寄り添い、日常の中で自然につながれる場所を育てていくこと。その積み重ねこそが、災害にも強く、誰もが安心して暮らせる地域づくりにつながっているのです。
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